必読!葉酸欠乏で妊婦や胎児に与える影響とは?

葉酸欠乏 妊婦近年、妊婦の葉酸摂取についてクローズアップされるようになってきました。妊娠して初めて葉酸という言葉自体を初めて聞く人も多いかもしれません。その位、普段はあまり不足することのない栄養素です。

医師や看護師にサプリメントからの葉酸摂取を勧められ、「絶対摂らなきゃダメ?」と疑問を感じている人へ、葉酸欠乏が妊婦や胎児にどのような影響を与えるのかを詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。

葉酸欠乏で妊婦におこるリスク

葉酸不足で神経管閉鎖障害が起こる可能性が上がる

葉酸は細胞分裂の最初にかかわる栄養素で、葉酸が不足すると細胞分裂がうまくいきません。赤ちゃんは1つの受精卵から、無数の細胞分裂を短期間で繰り返して人間になっていきます。特に妊娠初期は人として最も大事な臓器が作られる時期です。

妊婦が必要な時期に葉酸を摂らないでいても、妊婦自身はほとんど影響はありません。しかし、胎児は「神経管閉鎖障害」という障害を持つ可能性が高くなります。

葉酸は様々な食品に含まれていますが、その名の通り「葉」、つまり野菜や果物に多い栄養素です。

昔は野菜を現代より多く食べる生活であったので、葉酸は妊婦の必要量である400μgを満たすほど多く摂っていました。なので、神経管閉鎖障害は今より多くなかったのです。

現代は食生活が多様化し、野菜を多く取る人もいれば、ほとんど野菜を摂らない食生活をする人もいます。さらに、葉酸が最も必要な妊娠初期は、つわりで葉酸を多く摂ろうとしてもなかなか食べられないことも多いです。

年間500~600人が神経管閉鎖障害を発症

神経管閉鎖障害は、胎児が成長する途中で神経管が閉じてしまうことで発症する障害です。神経管の閉じてしまう箇所によって、「二分脊椎」「無脳症」「口蓋裂」などの障害になります。

神経管閉鎖障害は、10,000人に6~7人程度の割合で発症し、日本では年間500~600人がこの障害を持って生まれています。先天性の障害としてはダウン症がよく知られていますね。

ダウン症は1,000人に1人程度の割合で発症します。神経管閉鎖障害は1,000人に0.6~0.7人の割合となりますがら、ダウン症よりは少ないとしても、決して珍しくない障害です。

特に二分脊椎は、平成11年度の厚生科学研究において、ダウン症などと共に増加傾向にあるという研究結果が出ています。これらの神経管閉鎖障害は、母親の葉酸摂取である程度防ぐことができるため、妊婦の葉酸摂取が推奨されているのです。

神経管閉鎖障害の治療は生涯続くこともある

神経管閉鎖障害の中でも二分脊椎は、重症になると生きている間ずっと治療やリハビリテーションが必要になることがあります。

腰の部分に瘤(りゅう)が飛び出すように出来ている場合には、それを取り除く手術を生後2~3日で行います。さらに、90%に水頭症(髄液が頭の中に溜まってしまう)を発症していることが多いので、それらを取り除く手術も行われます。

これらの影響で、歩くことが困難になったり、上手く飲み込むことができないなど、生きること全てに介助が必要になることが多いのです。さらに、この障害には根本的な治療がなく、その都度、現れた症状に対処する対症療法が治療になります。

口蓋裂は、唇や上あごが裂けて生まれてくる障害です。程度にもよりますが、授乳に障害が出て、チューブを胃に通してミルクを与えなけらばならなくなったりもします。その後は手術で唇を治し、障害が残らないことも多いです。

無脳症は、生まれても24時間以内に亡くなることが多く、生きていくことができません。無脳症は妊娠中にエコーで判るため、診断されると、中絶を選択される親も多いです。

神経管閉鎖障害は指定難病

神経管閉鎖障害は脊髄髄膜瘤として難病に指定されています。(指定難病118)この病名が付けば、ずべて指定難病ということではなく、Baselindex85点以下の場合においてという条件はあります。

指定難病になると、医療費などの大幅な助成があります。神経管閉鎖障害の治療には多くの時間とお金が必要になるので、助成があるとても助かります。しかし、裏を返せばこの障害には多くのお金や介助、治療が必要ということです。

葉酸を摂取しなかったという深い後悔が残る

神経管閉鎖障害は多くの場合、母親の葉酸摂取によって防げる障害です。なので、赤ちゃんがこの障害を持って生まれてきた場合、母親は「先天性の障害だから仕方ない」「神様が与えた試練」などの言葉では片付けられない、深い後悔の念に苛まれます。

神経管閉鎖障害は葉酸不足だけが原因ではありません。親の年齢、遺伝など様々な要因があって発症します。それでも、自分を責め続けてしまうでしょう。

そんな時に支えてくれるのが、同じ障害を持つグループ(日本二分脊椎症協会)や、同じ障害を持って生きている人や家族の個人ブログなどです。

「自分のせいで…」という深い後悔の念は、同じ境遇の人と交流することによって、その心を癒やしたり、励ましたり、支え合うことで薄れていき、前向きに生きていくことができます。

どんなに周り励ましたり、理解して手を差し伸べてくれたとしても、同じ病気の同じ親でしか分かり合えない気持ちがあります。なので、このような場には積極的にアクセスすることが大事です。

妊娠中に必要な葉酸の摂取量

厚生労働省が示す葉酸摂取量

もともと葉酸と神経管閉鎖障害の関係は解明されており、欧米では妊婦の葉酸摂取が勧められてきました。日本は欧米に比べて野菜の摂取量が多く、葉酸はあまり不足せず、神経管閉鎖障害も多くありませんでした。

しかし、平成11年度の研究において、日本でも神経管閉鎖障害の増加が認められると、厚生労働省は妊婦に葉酸摂取を促す通達を発表しました。

その内容は「胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、付加的に 400μg/日のプテロイルモノグルタミン酸の摂取が望まれる」というものです。

妊婦の血液中の葉酸レベルを適正値にするには、通常200~240μg/日のところ、+100μg程度の付加で適正値になるのですが、安全を考えて+200μgの1日400μg目標としています。

合成葉酸と天然葉酸

厚生労働省から発表された通達には、「400μg/日のプテロイルモノグルタミン酸」と表記されています。このプテロイルモノグルタミン酸とは、一般的に言われている葉酸と違うのでしょうか?

プテロイルモノグルタミン酸とは、葉酸の正式名称です。もともと葉酸はポリグルタミン型という形(いくつかのグルタミン酸がくっついたもの)で食品に含まれています。

このポリグルタミン酸は、体内の消化酵素でバラバラになり、プテロイルモノグルタミン酸となって吸収されます。このポリグルタミン酸型は「天然葉酸」と呼ばれることが多いです。

対して、サプリメントなどに入っている葉酸は、最初からプテロイルグルタミン酸になって入っています。天然葉酸に対して「合成葉酸」と呼ばれることが多いのです。では、天然葉酸と合成葉酸、どちらを摂ったほうが良いのでしょうか?

厚生労働省では、「プテロイルモノグルタミン酸での摂取」を推奨しています。その理由は、通常の食事から摂った時に含まれているポリグルタミン酸の形で摂ると、消化の段階で半分の50%が吸収されること無く体外に出ていってしまうからです。

しかし、プテロイルグルタミン酸の形で摂ると約80%が吸収されます。確実に葉酸を摂るためには、プテロイルグルタミン酸で摂った方がいいということになるのです。

「合成」より「天然」の方が良いもののような気がしていしまいますね。食品から自然な葉酸を、妊婦の十分量摂るのはあまりに大変です。

天然葉酸のサプリメントもありますが、十分な葉酸を摂るためには、粒が大きくなったり数が多くなったり、癖のある味になったり、なかなか続けにくいとう難点があります。

葉酸を摂るすぎるリスク

葉酸は水に溶けるビタミンです。本来なら、水溶性ビタミンはある程度取りすぎても体外に出ていってしまうので、過剰症(摂り過ぎによる病気)はありません。

しかし、葉酸は過剰症のあるビタミンです。成人が葉酸を摂り過ぎると、発熱、じんましん、かゆみなどの症状が現れることがあります。

妊婦の場合、妊娠後期にも葉酸をサプリメントで摂り続けているとお腹の赤ちゃんが将来、喘息になるリスクが上がるという研究結果がオーストラリアで発表されました。葉酸は400μg/日必要なのは、妊娠初期です。それを過ぎたら、葉酸サプリメントは量を減らす、または止た方がいいでしょう。

葉酸の1日の上限量については、『妊婦さんの葉酸摂取上限は1日1000μgまで!その内訳を解説!』の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

サプリメントからの摂取量

サプリメントは手軽に摂取できるので、気をつけなければいけなのが過剰摂取(オーバードーズ)です。1日の摂取目安量は容器や説明書に書いてありますが、小さな文字で書かれているので、読まない場合も多々あります。

サプリメントによって、1日の摂取目安量が違います。1日2~3粒のものから1日5~6粒のものもあり、サプリメントを変更した時などには注意が必要です。

また、サプリメントを毎日決まった時間、決まったタイミングで飲んでいればいのですが、「あれ、飲んだかな?」など分からなくなってしまって、重ねて飲んでしまうことは問題です。

妊娠初期の葉酸摂取量は1日400μgですから、食事で200μg程度摂り、サプリメントで200μg摂ると考えるのが基本です。つわりなどで食事が取れない場合は、400μg全てサプリメントで摂って構いません。

上限量は1000μgですから、もし食事がしっかり摂れて200μg、サプリメントで400μg摂っても安全な量です。

葉酸を摂る目的で摂るサプリメントには問題なくても、意識しない間に摂っている葉酸を多く含んだ食品があります。お菓子タイプの栄養食品です。

商品名1食量葉酸量
フルグラ(カルビー)50g80μg
カロリーメイト(大塚)1本25μg
カロリーメイトゼリー(大塚)1本125μg
ウィダーインゼリー(森永)1本20~80μg
ウィダーインinバー1本50~250μg

これらの栄養食品は、食べやすいこともあり、少しでも栄養のある物を食べようと、つわりの時期などに多く摂ってしまうことがあります。

例えば、つわりで食べ物が食べられず、1日5本のカロリーメイトゼリーを摂ると葉酸量は625μg、そこに葉酸サプリ400μg摂ると、それだけで1000μgを超えてしまいます。1日だけ1,000μgの上限量を超えたとしても問題はありませんが、毎日多く摂り続けるのは避けたほうが良いでしょう。

妊娠期に増加する栄養素

妊娠期には、葉酸の他にもたくさん必要になる栄養素があります。昔は「食事は2人分食べろ」と言われた時代もありました。現在では、2人分必要なのはビタミン・ミネラル類です。

エネルギーは、妊娠初期で+50kcal、妊娠中期で+250kcal、妊娠中期で+450kcalですので、エネルギーは2人分食べる必要はありません。

栄養素付加推奨量
ビタミンA+80μgRAE(妊娠後期のみ)
ビタミンB1+0.2mg
ビタミンB2+0.3mg
ビタミンB6+0.2mg
ビタミンB12+0.4μg
ビタミンC+10mg
マグネシウム+40mg
+2.5mg(妊娠後期は+15mg)
亜鉛+2mg
+0.1mg
ヨウ素+110mg
セレン+5mg

この表をみると「あれ?カルシウムは?」と思う方もいますね。カルシウムは、妊娠したからといって、増やして摂るべき栄養素ではないのです。

国民健康・栄養調査では、20~30代のカルシウム摂取量は1日400mg程度(平成27年調査)です。必要なカルシウムは1日650mgなので、普段から満たしてないということになります。普段から足りていないことを意識して、カルシウムもしっかり摂りたい栄養素です。

妊娠期には、カルシウムが不足すると歯がボロボロになるとも言われますが、歯は一度作られると、カルシウムが不足しても溶け出すことはありません。

妊婦の歯がボロボロになる理由は、つわりで歯磨きが不十分になることや女性ホルモンの影響で、歯肉炎や歯周炎が多くなるためです。

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まとめ

葉酸は細胞分裂にかかわる栄養素です。妊娠初期は胎児が重要な臓器を作る時期で、この時期の葉酸不足によって「神経管閉鎖障害」という先天性の障害を持って生まれる可能性が高くなります。

神経管閉鎖障害での1つである「二分脊椎」は、生涯にわたり治療やリハビリテーション、生活に介助が必要になる場合があります。反対に、葉酸の取り過ぎは胎児が喘息にかかるリスクを上げるという研究結果もあります。

過剰に葉酸を摂りすぎることには注意が必要です。妊婦は葉酸以外に、多くのビタミン・ミネラルが必要になってきます。ビタミン・ミネラルは野菜に多く含まれる栄養素です。妊娠期は意識して摂りましょう。

安心・安全に摂れるおすすめの葉酸サプリ

妊娠中に起きる「つわり」でまともに食事が摂れないことは日常茶飯事だと思っておきましょう。

そうなった時に怖いのが、ちゃんと赤ちゃんの為に栄養が摂れないこと。また出産時の体力を考えても、お母さんの為、産まれてくる子供の為に、ちゃんと栄養は摂っておきたいですよね。

私も含め、多くの出産経験者が声を揃えて言うのは、食事から摂れなければサプリから摂取するべきという事。

なぜなら、サプリだとしんどいつわりの時でも安定して栄養が摂れる点が大きなメリットです。特に葉酸に関しては、産まれてくる子供へのリスク等も考えると、「食事からで十分よ!」と安易に考えるわけにもいきません。

そんな不安をなくすためにも、妊娠中には葉酸サプリを摂取するのがおすすめです。

管理栄養士の私が厳選した、葉酸サプリを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

葉酸サプリは継続して摂取するものなので、定期コースが多いですが、出産後も葉酸は必要な成分の事を考えると強制的に送ってくれるのはある意味助かります。

今回紹介している3つのサプリは、成分もちゃんと確認して私も飲んでいたものです。

間違った選び方・商品ではなく、産まれてくる赤ちゃんのためにも、正しい商品を選んでくださいね♪

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