妊娠中は葉酸が大事だとよく聞きますよね。でも、出産後や授乳中はどうなのでしょうか?
「赤ちゃんは生まれてるし、もう葉酸はいらないよね」
「余ってるけど、妊娠中じゃないから飲んでいない」
という方、葉酸は、産後も必要で飲むとメリットがたくさんあるのです!このように聞いて、驚いた方もいると思います。
葉酸は、妊娠中に赤ちゃん神経管閉鎖障害の予防のみに必要なわけではありません。他にも必要な理由がありますし、飲むとその恩恵がちゃんと受けられるのです。
出産後や授乳中にはどれくらいの葉酸が必要なのか、それはなぜか、いつまで飲むものなのかなど、たくさんの疑問をお持ちだと思いますので、管理栄養士である私が、葉酸の必要性や役割について詳しく説明していきましょう!
記事の目次
葉酸は授乳中も摂取するべき!
葉酸の大切な働き
葉酸は、ビタミンB₁₂と共に血液を作ります。そのため、葉酸の欠乏症では、ビタミンB₁₂不足と同様に巨赤芽球性貧血という悪性の貧血になることがあります。
また、葉酸にはたんぱく質や細胞を作る時に必要なDNAなどの核酸を合成する重要な役割があります。このため、赤血球を産生を助けたり、細胞分裂が活発な胎児の正常な発育に役立ったりするなど重要な働きをしているのです。
産後にも毎日葉酸が必要
産後は、母乳で赤ちゃんに栄養を与えることで葉酸が不足しやすい状態になる可能性があります。そのため、妊娠中や出産後も通して、葉酸を摂取することが重要です。
葉酸は体内での蓄積性が低いため、毎日摂る必要があります。では、1日どれくらいの葉酸が必要なのでしょうか?
1日当たりの葉酸摂取奨励量
18−49歳の1日葉酸摂取奨励量を「妊娠可能な女性」「妊娠中の女性」「出産後・授乳中の女性」でまとめました。
妊娠期は、通常時に推奨されている240μgの他に240μg必要とされています。
葉酸の摂取不足でお腹の赤ちゃんは先天性神経管閉鎖障害になってしまうことがあるので、厚生労働省は妊娠時に増やす必要のある240μgを、安全を考えてサプリメントで400μg摂るように推奨しています。
つまり、妊娠初期(0~3ヶ月)には通常推奨量の240μg+妊娠期の推奨量400μgの合計640μg摂ることを目指しましょう。
18−49歳の1日葉酸摂取推奨量 | 1日の合計 | |
妊娠可能な女性 | 240 μg(基本的な葉酸推奨量) | 240μg |
妊娠中の女性 | 240 μg+240 μg(妊娠中の付加量) | 480 μg |
出産後・授乳中の女性 | 240 μg+100 μg(出産後の付加量) | 340 μg |
※妊娠を計画している女性、または、妊娠の可能性がある女性は、神経管 閉鎖障害のリスクの低減のために、付加的に 400µg/日のプテロイルモノグルタミン酸(サプリメントなどから)の摂取が望まれます。
葉酸の摂り過ぎには注意
葉酸の摂り過ぎによる疾患はありませんが、葉酸の摂取が1日当たり1000μg(=1mg)を超えると、ビタミンB12の欠乏の診断が難しくなると言われていますので、摂り過ぎには注意しましょう。
特にサプリメントから葉酸を摂っている場合は、飲み過ぎに注意して、内容量をよく確認してください。
では、次に出産後に葉酸を摂るとどんなメリットがあるのかをお話しましょう。思いの外たくさんのメリットがあるんですよ♪
葉酸の上限量については、『妊婦さんの葉酸摂取上限は1日1000μgまで!その内訳を解説!』の記事で更に詳しく解説していますので、必ず目を通しておきましょう。
産後の葉酸摂取のメリット
葉酸を出産後も継続して摂ることによって、次のような良い効果があると言われています。
母乳に良い
母乳は、血液やリンパ液などが乳腺の乳腺房に集まって作られます。その血液が不足すると、母乳の分泌にも影響する可能性があるのです。葉酸は、血液を作る働きがあることから、産後も葉酸の摂取が必要なのです。
子宮の回復に良い
人間の体は細胞分裂によって、毎日新しい細胞へと生まれ変わっています。出産で子宮はダメージを受けますが、細胞分裂によって徐々に回復していきます。
葉酸には、その細胞分裂を促す作用がありますので、葉酸をしっかりと摂取することで出産後の子宮のダメージの回復を促すと言われています。
抜け毛予防に良い
葉酸は、たんぱく質を作るのに関係している栄養素で、細胞分裂を促して新陳代謝を活発にしたり、血行を良くしたりする働きがあります。この働きによって髪や地肌を健やかに保つことができるのです。
美容に良い
葉酸は、細胞分裂を促進して、肌を健康な状態を保つことに加えて、腸内の粘膜を強くする働きもあります。
腸内運動が活発になって便秘が改善されたり、消化吸収が良くなったりするなど、体の内側からも美しくなる効果があると言われています。肌の手入れまで手が回らないことが多い出産後には嬉しい効果ですね。
産後うつ予防に良い
うつとビタミンDや葉酸の関連が複数の研究で示されています。妊娠中だけでなく、出産後に葉酸を摂るとこんなに嬉しいメリットがあるのですね。
では、葉酸はどのような食物に含まれているのでしょうか?食品別に効率良く、簡単に取れる方法をご紹介しましょう。
葉酸を多く含む食物
葉酸はビタミンB群の一種で、その名の通り緑黄色野菜に多く含まれる成分です。
どの食べ物を摂ると、効率良く葉酸が摂取できるのかについてわかりやすく種類ごとにまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
葉酸が多い野菜5つ
100gあたりの葉酸の量 | 生の状態 | 茹でた状態 | 料理例・備考 |
枝豆 | 320μg | 260μg | さやと豆の重さはだいたい半々。例えば200gの枝豆は、実際に食べるマメの部分は100g程度。 |
モロヘイヤ | 250μg | 67μg | 茹でると葉酸が失われやすいので、スープにするといい。 |
芽キャベツ | 240μg | 220μg | 茹でた時の葉酸は、ほうれん草やブロッコリーより多い。炒め物やスープ、サラダ、パスタなど幅広く使える。 |
ブロッコリー | 210μg | 120μg | ほうれん草と同じくらい葉酸が多い。サラダに加えたり小鉢で出せばお手軽。茹でたブロッコリーは冷蔵庫で数日分の作り置きもOK。 |
ほうれん草 | 210μg | 110μg | ちょっと葉酸は減るけど、急ぐ時はおひたしに。 |
葉酸が多い果物5つ
100gあたりの葉酸の量 | 料理例・備考 | |
マンゴー | ・260 μg (ドライ) ・84μg (生) | ドライマンゴーはいつでも手軽に食べやすい。持ち歩きにも便利で、おやつ代わりにもおすすめ。 |
ドリアン | 150μg | ドリアンは日常的に食べる人は少ないですが、いちごの1.5倍、アボカドの2倍の葉酸を含有。臭いが強いので苦手な人も多いですが、クリーミーで濃厚な味わい。この機会に一度試してみてもよいかも。 |
ライチ | 100μg | あまり日持ちしないため、冷凍のライチがおすすめ。 |
いちご | 90μg | 妊婦さんはもちろん、子供たちの葉酸補給にも良い。 |
アボカド | 84μg | 「森のバター」と呼ばれ栄養豊富。醤油によく合い、巻き寿司、サラダに入れて和風ドレッシングにすれば簡単で美味しい。 |
お手軽に葉酸が摂れる食べ物3つ
100gあたりの葉酸の量 | 料理例・備考 | |
納豆 | 120μg | 納豆1パック50gあたり60μgの葉酸を手軽に摂れるのがメリット。キムチやパスタなど色々な食材に合わせやすい。 |
ひよこ豆 | ・350μg (乾燥) ・110μg (茹で) | 手軽に使える茹でた缶詰がおすすめ。ツナや細かく刻んだ野菜と混ぜればサラダのできあがり。 |
きな粉 | 220μg | お菓子作り以外にもご飯に混ぜて炊いたり、そのままヨーグルトにふりかけても美味しい。 |
葉酸を逃がさない調理法
葉酸は、水に溶けやすく、熱にも弱いので調理には工夫が必要です。葉酸は、本来食品に含まれている25%ほどしか体内で利用されないというデータが出ています。
でも、出産後は赤ちゃんのお世話もあって忙しく、できれば料理に時間をかけたくないですよね。簡単で便利なおすすめの方法をご紹介しましょう。
>>参考:葉酸は熱に弱い!?葉酸を摂取するなら気をつけたい食べ方
スープや煮物にする
煮物、汁物、スープにすると溶け出した葉酸も一緒に摂れます。例えば、ほうれん草やブロッコリーを茹でると半分くらいは葉酸が溶け出します。できれば煮汁もそのまま食べられるスープにするといいですね。
電子レンジを使う
電子レンジを使うと、調理中に葉酸が失われるのを防ぎます。例えば、かぼちゃを茹でるのに、鍋を使うよりも早く2分ほどで熱が通ります。
一口サイズにカットして電子レンジ(600w)で100gを2分ほど加熱したらできあがりです。(茹でたかぼちゃは100g中75μgの葉酸を含みます)
蒸す
ステンレスの多層構造鍋(無水鍋)などを使って水を使わないで蒸すと、葉酸もその他の栄養素もほとんど逃さずに食べることができます。この時に冷水に取らないのがポイントです。
冷水にとると水っぽくなって、葉酸や他の栄養素が溶け出してしまうので、せっかく葉酸を効率良く摂ろうとしている工夫が台無しになってしまいます。蒸した後は、すぐにお皿に広げて冷ますといいですね。
ミキサーを使う
葉酸は、水で洗うときにも溶け出してしまいます。きれいに洗った後、葉酸をまるごと摂るにはミキサーを使うのがおすすめです。葉酸を多く含んだ緑黄色野菜のスムージーは朝食にも間食にもぴったりです。
葉酸って思っていたよりも簡単に摂れると思いませんか?色々と組み合わせてみましょう。では、産後はどれくらいまで葉酸が必要なのでしょうか?また、他の栄養のことも気になりますよね。
葉酸はいつまで摂取すべき?
葉酸は産後もずっと必要
授乳期はもちろん、もし次のお子様がほしいと考えている方は、妊娠前から葉酸の摂取が重要になってきます。
妊娠初期に葉酸が不足した場合、二分脊椎症や無脳症などの発生するリスクあると厚生労働省から報告されています。これらを予防するには、妊娠前から葉酸を摂る必要があります。
厚生労働省も「妊娠を計画している女性、または、妊娠の可能性がある女性は、神経管閉鎖障害のリスクの低減のために、付加的に400µg/日のプテロイルモノグルタミン酸(サプリメントなどから)の摂取が望まれる。」としています。
もし、もう妊娠は考えていないという方でも、葉酸は健康に不可欠な栄養素ですので、妊娠に関係なく誰でも毎日摂取しなければならないものです。
但し、妊娠前や妊娠中のようにより多く摂取する必要はなく、「18歳以上の男女共に1日に240μg摂ることが推奨されている」通り摂取すれば問題ありません。
また、造血機能や細胞分裂を促す葉酸は、生きるために重要な働きをしています。葉酸は認知症、脳梗塞、心筋梗塞などの病気予防にもつながる可能性が示されているのです。「出産しても葉酸は必要なもの」なのですね。
葉酸以外の大切な栄養素
妊娠中も産後もバランス良く栄養を摂ることが原則ですが、厚生労働省は、妊娠前よりもタンパク質、ビタミン類、鉄、亜鉛などの栄養素を多く摂るように奨励しています。
これらは、産後の体力回復、母乳や赤ちゃんのお世話などで忙しくしているお母さんのエネルギーのもとになります。
忙しいママは葉酸サプリからの葉酸摂取がおすすめ
赤ちゃんのお世話や家のこと、上の子どもさんがいらっしゃる方はその子の世話もあって、出産後は何かと忙しいものです。
また、赤ちゃんのことを優先していると自分の食事は後回しで、食べ損なったり適当に済ませてしまったりしてしまうことも私の経験上でも多くありました。
そんな忙しいママでも効率的に葉酸を摂るためには、サプリメントがおすすめなんです。その理由をお伝えしましょう。
葉酸を摂るためにサプリメントがおすすめな理由
体内での利用効率が食品よりも良い
葉酸のサプリメントの体内での利用率は、約85%と言われています。一方で、食品からの葉酸の利用率は約25%くらいに減ることもわかっています。
食品からたくさん葉酸を摂取しようとしても、たった25%しか体内で利用されないと考えるとすごく大変ですよね。
それだけサプリメントからの葉酸摂取は、本当に効率が良いということで厚生労働省も推奨しているのです。忙しい産後のママにぴったりですよね。
必要な栄養成分も一緒に摂れる
多くのサプリメントは、葉酸だけでなく妊娠中に必要なビタミン類やミネラルを一緒に摂ることができるように作られています。
一つのサプリメントに、体に大切なビタミン類やミネラルが含まれているは嬉しいですね。
忙しい時でも飲めて葉酸が摂れる
忙しい時や食欲がない時も、葉酸のサプリメントを飲むことができれば、少しだけでも葉酸が体に入ってその効果を発揮してくれます。
忙しい時や調子が良くない時でも飲める葉酸のサプリメントは、妊娠中だけでなく出産後も強い味方になってくれそうですね。
旅行中でも手軽に飲めて葉酸が摂れる
旅行先では、外食が多くて食事のバランスのいい食事が取れないことがあると思います。そんな時でも葉酸のサプリメントが活躍します。
葉酸以外にもビタミン類やミネラルが摂れますし、邪魔にならずに持ち運べますね。また、旅行に持って行くのを忘れた場合でも旅先で購入することが可能です。
食品に比べて安価で葉酸が摂れる
出産後も色々な食品を組み合わせて食べるのは大事なことです。でも、食事だけで充分な葉酸を摂ろうとすると、たくさんの食品を買って、調理しなければなりません。
当然、サプリメントよりもコストと時間がかかってしまいます。食品とサプリメントを併用することによって、コストが抑えられてかつ効率的に葉酸を摂ることができるのです。
まとめ
妊娠中だけでなく、出産後にも葉酸が必要な理由や葉酸のメリットがたくさんあることがわかって頂けたと思います。
母乳への影響やや子宮の回復、さらには美容や病気の予防にも効果があるとは嬉しい限りですよね。
調理方法もスープにしたり、電子レンジを使ったりして葉酸をできるだけ逃さないで、効率的に摂る方法がいくつもあります。出産後は家事や赤ちゃんのお世話など、何かと忙しいとですよね。
これからも他の栄養素と合わせて葉酸を摂り続けて、家族や赤ちゃんと一緒に健康な毎日を過ごしていけると良いですね。
安心・安全に摂れるおすすめの葉酸サプリ
妊娠中に起きる「つわり」でまともに食事が摂れないことは日常茶飯事だと思っておきましょう。
そうなった時に怖いのが、ちゃんと赤ちゃんの為に栄養が摂れないこと。また出産時の体力を考えても、お母さんの為、産まれてくる子供の為に、ちゃんと栄養は摂っておきたいですよね。
私も含め、多くの出産経験者が声を揃えて言うのは、食事から摂れなければサプリから摂取するべきという事。
なぜなら、サプリだとしんどいつわりの時でも安定して栄養が摂れる点が大きなメリットです。特に葉酸に関しては、産まれてくる子供へのリスク等も考えると、「食事からで十分よ!」と安易に考えるわけにもいきません。
そんな不安をなくすためにも、妊娠中には葉酸サプリを摂取するのがおすすめです。
管理栄養士の私が厳選した、葉酸サプリを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
葉酸サプリは継続して摂取するものなので、定期コースが多いですが、出産後も葉酸は必要な成分の事を考えると強制的に送ってくれるのはある意味助かります。
今回紹介している3つのサプリは、成分もちゃんと確認して私も飲んでいたものです。
間違った選び方・商品ではなく、産まれてくる赤ちゃんのためにも、正しい商品を選んでくださいね♪
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